ファイトソング 中村亘利 少年愛小説
「……間者は信用できるだろうか」。酒は嗜好品で、もとから無理に飲むものではない。
「あ、大丈夫で……っ!」。「は、離してくださいっ…だめです、王子っ」。心底呆れたという顔で腕組みし、大袈裟に息を吐きだした。浩太が自分を求めているという事実だけでも嬉しいのに、これで満足すればいいのに、嫉妬に苦しめられて傷ついた心は、なかなか癒えてはくれない。
「……んっ、ああ……っ」。
明良が、聖を扉に押さえつけたまま、片脚を折って聖の股間に押し当てたからだ。いっぽうの京弥は、蝶ネクタイを外して襟を開けているが、ベストを着たバーテンダースタイルのままだ。中央に置かれたダイニングテーブルの上には、空になったワインの瓶(びん)が二本載っているだけだった。瞬時に耳まで赤くなってしまう。「ほんと可愛いよね」。「!」。「じゃあ、今まで俺のことを好きではなかったのか?」。
気楽で安心〜。「バトラーとメイド……?」。「灯位…」。――――少々思い通りにならないことがあっても、気にせずやり過ごせばいいだけだ。否と答える声さえセフィエスは甘く囁く。くっくっと喉で笑いながら、カーディはサーランを自分の膝に座らせる。ナンパ男も怯んだのか、衣緒の腕を掴んでいた手が緩む。
「俺…俺、アリが好き…」。好きな人に、愛されずに抱かれるのは辛い。大きなテーブルの上には、焼きたてのトーストとベーコンエッグが載った皿、そして、香ばしい湯気の立ち上るマグカップが二人分置かれている。窓ガラス越しに差し込む柔らかな秋の陽を背中に受けながら、事務机に向かって座(すわ)っている立花和樹(たちばなかずき)は、手元に広げたスケジュール表にぼんやりと目を向けていた。たっぷりとした大きさのシャツを着ているせいもあり線の細い印象があるが、実際には彫刻の作業で鍛(きた)えられた四肢(しし)にはほどよい筋肉がついている。先を読んだ発言は差し出がましい感もあるが、羽田野を煩(わずら)わせないためにも、秘書としては当然のことと考えていた。
ボーイズラブコミック作品紹介
大手商社の村上は、有名紅茶メーカーの役員で、六年前に身体の関係があったアランと再会する。 当時、遊びのつもりだった村上は、妖艶で淫らなアランに本気になってしまった。 だが、本気になったのは村上だけで、結局仕事の契約は壊され、二人も破局を迎えたのだった。 しかし、再び現れたアランは相変わらず美しく、しかも村上が手がけようとしている中国茶の交渉を助けると言い――。
タイトル:茉莉花茶の魔法
著 者 名:剛しいら
レーベル:ダリア文庫e
発 行 元:フロンティアワークス
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