フラれて元気 石川直宏 少年愛小説


シオンはその逞(たくま)しい胸に唇で触れながら、思わず天人の言葉の意味を考えてしまった。「悠仁さん、本当に覚えていないんですか?昨夜の悠仁さんはいきなり僕を更衣室に連れ込んで、それでキスしてきて……」。

プクッと頬(ほお)を膨(ふく)らませた、トオルの愛らしい表情を見て、飯島はおかしそうに笑った。キス、されている。「…サーラン」。俺は苦笑して、真崎の隣に腰かけた。「……ちゃんと、好きだよ。……けど、もっともっと好きになりたいなぁって、そう思ったんだ」。(好きな人に、お仕置きで抱かれるなんて最低……)どうしようもなく、やるせない気持ちだった。

かあっと頬が熱くなる。そして、あどけなさの残る色白の可愛らしい顔は、二十二歳という年齢を感じさせなかった。「うっ」。必死の思いで紡いだ言葉も、あっさりと英彦に却下され、さらなる侮辱の言葉を浴びせかけられてしまう。

「なにって……、オレの言動にはすべて一貫性があると思うけど?」。

かつてルシファーが仕掛けた戦争のように、天界全土を巻き込む争いだけは避けたい。挨拶のハグには、気軽に応じる。けっきょく自分にとって興味のあること、都合のいいことだけしか見ないのか。官能的な顔だ。「……」。とだけ言って部屋を出ていく。水物しかとらない魔王ならではの、厳しい基準があるようだ。

「おまえは、信じられないくらい大事にされてるよ。普通、恋人と二人で住んでる部屋に弟を同居させようなんて思いつくか?上手く追い払われるのが関の山だろ」。「…………」。「……っ……」。洗(あら)い晒(ざら)しのジーンズに合わせたトレーナーの袖(そで)を捲(まく)り上(あ)げ、トオルは荷物を運び出す準備に精を出している。眠気に勝てず、実生はすうっと瞼を閉じた。ダイニングテーブル代わりのコタツと、座布団と兼用の万年床。


ボーイズラブコミック作品紹介


家の事情で、愛器のヴァイオリンを手放すことになった音大生の星野。オークションでそれを4億近い価格で落札したのは、若き大富豪、黒須だった。家に来て一曲弾いてくれないかという黒須の申し出に、愛器への未練から喜んで応じてしまった星野……だが、黒須の本当の狙いは、手に入れた芸術品とともに星野の体を堪能することで……。名器を巡り二転三転するハラハラのLOVEオークション!

タイトル:トラブル・オークション
著 者 名:鹿能リコ
レーベル:講談社X文庫、 ホワイトハート
発 行 元:イースト・プレス

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